当法人の 腎代替療法 に対する考え方

 

腎代替療法とは?

回復の見込みがない末期腎不全に至ったとき、腎臓の働きを肩代わりするものに頼らなければ生きてゆくことができません。この腎臓の働きを肩代わりする手段を腎代替療法といいます。

腎移植、血液透析(人工透析)、腹膜透析の3つがあります。

かかりつけ医や腎臓病専門医などから、「そろそろ透析が必要になりそうです。」と言われたとき、

通常はこれら3つの選択肢からどれかを選ばなければなりません。

じっくり相談して治療法を選択します
「透析が必要」と言われると気持ちが動転し、どの治療法を選べばよいのか考えることは難しくて辛いことです。何をどう考えればよいか、誰に相談したらよいか、もらった資料を読んでも実感がなく先のことがイメージできない、という患者さんからの声をしばしば聴きます。

腎代替療法に関わる諸学会は、腎代替療法をせずに緩和治療ののちに看取りを受ける、という選択肢もあわせた4つについて充分に説明するよう勧告しています。

当法人では、各施設で「療法選択外来」を行っており、腎臓・透析専門医および療法選択に精通した

腎代替療法専門指導士が患者さんや家族に説明し、時間をかけて相談して治療法を選択します。

当法人の施設に通院していない患者さんにも対応しています。

血液透析(人工透析)で元気に長生きするには循環器や代謝の疾患の管理が重要です

血液透析は週に23回、135時間行う、いわば途切れ途切れの治療です。ですから良い透析をすることと同時に、透析をしていないときに病状に見合う最適な生活(食事、服薬、血圧などの観察、運動など)を送ることが重要です。

血液透析患者さんの予後(寿命や合併症)を左右する最大の因子は血圧で、次がリンやカルシウムの管理です。死因は心不全、脳血管疾患、末梢動脈疾患など、循環器や代謝の疾患が大半を占めます。

当法人では、腎臓・透析・循環器専門医が血圧管理、カルシウム・リン管理を行い、それぞれの患者さんに最適な血液透析の方法や量、時間、速度を決め、慢性腎臓病療養指導看護師や透析技術認定士が中心となって栄養状態の評価、自宅療養の指導をしています。
また上で述べた最適な生活を支援するために、必要に応じて訪問介護、訪問看護、リハビリテーションを提供する施設と連携しています。

腹膜透析で元気に長生きできるために大切なこと

わが国では腹膜透析は血液透析ほど普及していませんが、一定の条件を満たす患者さんにとっては、大変有用で快適な治療法です。腹膜透析患者さんの予後を左右する因子は血液透析と共通のもののほかに、腹膜炎の予防、脂質代謝の管理が重要です。

 

合併症やがんを早く見つけて治療する

いかに良い透析治療をしても合併症はゼロにはできません。また現在は国民の2人に1人はがんで亡くなる時代です。合併症やがんなどをいかに早期に発見して治療するかが非常に大切です。

透析患者さんに最も多い合併症は、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、不整脈、脳出血・脳梗塞、末梢動脈疾患(下肢動脈閉塞症など)など、循環器系疾患です。また、これら合併症の原因となる高血圧、脂質異常、糖尿病の管理も重要です。当法人は循環器専門医など循環器、代謝内分泌に精通した医師が透析患者さんを診療しており、心電図、超音波検査、脈波検査などを用いて合併症を早期に発見し、専門的治療が必要な場合は連携医療機関へご紹介しています。

 

また、肝臓・膵臓・胆のう・胆管・腎臓のがん、甲状腺がん、肺がん、膀胱がんについては当法人の施設で定期的に検査を行い、食道・胃・大腸のがん、乳がん、子宮がん、前立腺がんについてはそれぞれの患者さんの病状によって他施設での検査をご紹介しています。